バッティング時の手首の使い方は、「返す」「返さない」など両極端な言い方をされることがあるので、どう使っていいのか迷いますよね。
実際はそういった手首の使い方をバッティング中に意識することで、かえって打てなくなる可能性もあるので注意が必要です。
この記事では、
- 知らないと損をするバッティング時の手首の使い方
- その他のバッティング時の手首の使い方
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
今回の記事の内容
知らないと損をするバッティング時の手首の使い方とは
結論から言えば、バッティング時の手首の使い方は以下の通りですね。
手首を使う意識は持たない
僕はパーソナルトレーナー歴11年で、野球選手の動作指導も行っていますが、身体の自然な使い方から言えば、
バッティング時に手首を返す、返さないなどの意識はそもそも持たない方がいい
というのが結論です。
バッティング時のスイング動作の基本は「全体の動きがスムーズに動くこと」がベースにあります。
手首を返そうと意識してしまうと手首を返すタイミングで動きが硬くなり、その結果、
- スイングスピードが遅くなる
- バットをこねる
などが起こってしまう。そうすると、スムーズな動きができなくなった結果、マイナスに働いてしまう可能性があります。
この辺りを理解するために、基本のスイング動作についても解説していきますね。
基本のスイング動作
スイング動作の全体の流れは以下の通りです。
後方の壁が近くてフォロースルーが少し小さくなっていますが、基本的にはこのような流れでスイングが行われます。
次は、手首だけフォーカスして追えばこのようになっています。
このスイング動作中、特に手首の使い方に意識を向けていませんが、手首は自然に返っています。
まずおさえておきたいことは、
手首は使う、使わないに関係なく無意識でも自然に返っていく
ということです。
手首を使う=動きが止まる&バットをこねる
より遠くへボールを飛ばす、勢いのある打球にするために重要なことは、スイングスピードが速いということ。
スイングスピードに比例して打球が飛ぶこともわかっていますが、バッティング時の約60%のエネルギーは下半身から生まれています。
- 下半身
- 骨盤
- 体幹
- 肩
- 腕
- 手首
- 手
- バット
この順に連動するように身体は動き、関節をまたぐごとに加速されていく。
その総合の結果としてスイングスピードが決まりますが、先ほどもお伝えしたように手首の使い方を意識してしまうと手首の部分で減速し、動きが硬くなります。
そうすると、スイングスピードが遅くなる可能性があり、結果としてはマイナスになりがちです。
また、手首を使おうとしすぎると、
バットをこねるような動き
になるため、ボテボテのゴロが多くなります。
野球選手はあくまでもボールをミートして、バッティングを向上させることが目的なので、こういった点からも手首の使い方を意識することはおすすめできません。
プロ野球選手の手首の使い方
また、バッティングの手首の使い方によってパフォーマンスが向上することはないかという疑問に対しては、動画を見ていただくと理解しやすいと思います。
一番見てほしいところは、
インパクトの瞬間と手首が返るタイミング
です。
よく見ていただくと、
ボールがバットに当たる → “その後”に手首が返る
という順で動いているのがわかると思います。つまり、手首を返そうと意識をしても、すでにボールは前に飛んでいるため、手首の使い方を意識してもあまり意味がないということになりますよね。
また、バッティングをしている際にバットにボールが当たった感覚が手に伝わりますが、
バットにボールが当たった瞬間と、バットにボールが“当たったと感じる瞬間”にはコンマ数秒の誤差がある
と言われています。
ですので、
バットにボールが当たったと感じた瞬間には、すでにボールは前に飛んでいる
ということになるため、これからも手首の動きを意識してもあまり意味がないことが理解できると思います。
バッティング時の手首の使い方の基本は、
返す、返さないなどの意識を持たず、リラックスしてスイングすれば自然に返る
ということです。
ここまでお伝えしたことは“身体の使い方”としてお伝えしましたが、これに当てはまらないこともあるため、次は別の角度から手首の使い方を見ていきます。
その他のバッティング時の手首の使い方
先ほどは手首の使い方に意識を向けないとお伝えしましたが、リストが強い方は別のケースがあります。
手首を返して打つ
前中日ドラゴンズ監督の落合博満さんが現役のとき、このようなバッティングをされていました。
手首を返すような使い方をされていますが、リストが強い選手の場合、“手首を返す”という意識でバッティングしてもこういった素晴らしい結果が出ることがあります。
ただ、リストが際立って強くなければバットをこねてしまうので、先ほどお伝えしたように基本的には手首は使う意識は不要です。
このように、リストの強さが際立っている選手に関しては少し例外のことも言えるかもしれません。
手首を返すことでゴロを打つ
また、戦術的な面で“あえて”ゴロを打つなどの場合は、手首を返すように打つのはいいと思います。
バットをこねればゴロを打ちやすくなりますし、それで進塁打を打てるのであれば、戦術としては問題ありません。
こういう戦術に関係する場合は、発想としては手首を返す、使うことはありだと思います。
手首を返す“感覚”を持つ
プロ野球のインタビューをなどを見ているとよく、
手首を返すように打っています!
とコメントされることもありますが、実際に手首が返りすぎるとバットをこねてしまう。
ただ、手首を返すような“感覚”を持つことで、インパクトの位置が変わったりスイング動作がスムーズになることもあります。
ここは、今どのようなスイング動作になっているかがポイント。手首の使い方に問題があり、手首を使うような感覚にすることでスムーズな動作に変わることもあるんですね。
ただ、スムーズなスイング動作ができているのに、手首を返そうとしてしまうとバットをこねることもある。
大切なことは、
手首を返す感覚を持つことで、実際に動きがどのように変化するか
です。おそらく2人の選手がいれば手首を返すという感覚でスイングすれば、手首の返し方に違いが生まれるはずです。
現場感覚で言えば、現状のスイングによって変わってしまいますが、手首を返すような“感覚”を持つことでスイング動作がスムーズになるのであればそういうアドバイスをすることもあります。
ただ何度も言うように、基本的には手首を使う、返す意識は不要ですね。
手首を絞るのはおすすめしない
高校生などの野球選手を見ていると、たまに手首を絞るような意識を持っている選手がいますが、これはおすすめできません。
雑巾を絞るようにバットを握れば、構えの時点で脇が締まります。構えの時点で脇を締めてしまうと、バットを振り出すタイミングで必ず脇が開きます。
人間の身体は、
締める動作の後は、必ず開く
という動きになります。ですので、手首を絞るというようなイメージはおすすめできず、一番握りやすい形でバットを握って構えればOKです。
この辺りの意識もスイング時の手首の動きに影響が出るので、手首を絞るという意識は持たない方がいいですね。
詳しいバッティング動作については「野球の打ち方やバッティングのコツをトレーナーが4ステップで解説」で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
知らないと損をするバッティング時の手首の使い方のまとめ
今回は、知らないと損をするバッティング時の手首の使い方をお伝えしました。
今回の記事のまとめ
- 基本的には、バッティング時には手首を意識を持たないこと
- スイング動作で一番重要なことは、全体がスムーズに動くこと
- 手首の使い方を意識すると、手首で減速し、動きが硬くなる
- ただリストが強い選手は、手首を返すようにバッティングすることもあり
- 手首を返すという感覚でバッティングをすれば、動きがスムーズになることもある
- 手首の使い方を意識するよりも、全体の動きがスムーズになるようなことをする方が重要
こういった内容をお伝えしました。
バッティングは本当にちょっとしたことで変わりますし、打てるように楽しくなるので、今回の内容が少しでも野球選手のお役に立てると嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
この記事へのコメントはありません。